Regional
Development
Studies
追手門学院大学地域創造学部ウェブサイト

葛西 リサ
地域創造学部
地域デザインコース担当教員
-Kuzunishi Risa-
安心して過ごせる住まいを
一人でも多くの人達に
―― 1.研究テーマ
なぜひとり親問題について研究しようと思ったのか?
大学院生の時に修士論文のテーマに悩んで、たまたま入ったゼミが住宅政策を専門とするゼミでした。そこで住宅に関わることについてテーマにしようと思いました。ホームレス問題など色々と考えていた時、海外の女性の住宅の貧困に関する論文を読み、関心をもち、このテーマに取り組もうと思いました。
母子家庭が父子家庭よりも多い理由は?
戦前もしくは戦後しばらくは、男性が親権をとることが多かったのです。子どもは跡取りとされていたこと、男性=夫の親族などが多いエリアで生活することが一般的だったため、父子世帯となっても子育てができるインフラが整備されていたということがその背景にはありました。
しかし、男性は仕事、女性は家庭という男女性別役割分業の根強い規範や、併せて、核家族化が進行すると、男性が子を引き取ろうにも、仕事に影響がでる、家事に慣れていない、何より、育児を妻に任せていたため子育ができない、など様々な理由から、それが難しい。それが戦後、父子世帯が減った原因だと思います。
先生に子供はいますか?
2人います。私も夫も働いてるので、仕事が遅い時や出張の時は、祖父母がサポートしてくれました。。それはすごく助かりました。しかし、家族だから助け合えるというのは幻想だと思います。
助けてもらえる人はラッキーだけどそうでない人もたくさんいます。だからこそ、育児やケアを社会化する必要があると思っています。
ひとり親問題のことで驚いたことは?
離婚の原因が暴力だったりすると、当事者にお話をお伺いすることに気を遣いました。つらい話もたくさん出てきます。とはいえ、それを明らかにしなければ、問題の解決にはつながりません。フィールドワークとは楽しいことばかりではない、ということも皆さんに知ってほしいです。
実際に空き家問題なども手掛けていますか
数は多くないですが、アドバイスを求められて、団地や空き家を改修して、活用の提案をすることもあります。。現在、古民家を改装してシングルマザー向けのシェアハウスにしたり子ども食堂にしたりする事例も登場しています。
私がかかわった神戸の団体は、規模の大きな社員寮を改修して、40室のシングルマザーシェアハウスに転用しています。ただ、空き家を綺麗に作り変えるだけでは空き家活用は成功しません。どんな人に、どの値段で入ってもらうのか、どんなサービスを提供したら、入居者が幸せになれるのか、また、そのサービスを展開するためには、どの程度の資金が必要になるのかなど、様々なことを考える必要があります。
―― 2.ゼミ
先生のゼミは何をしていますか?
社会的な意義を追求する内容であれば、どのようなテーマでも受け入れています。とはいえ、やはり、住宅問題に関心がある人が多いですね。
今年は団地再生にとりくんでいる学生が2名います。
調査の対象としている団地には、住宅を改修して作った食堂や保健室、DIYの家(4室を作業場や工具置き場にして、誰でもが自由にDIYができるスペース)などがあります。集会所を図書館にして、子どもの居場所にしたり。ユニークな取り組みをしています。そういった取り組みがなぜできたのか、居住者などにインタビューをしながら、明らかにするということをやっています。
このほか、シングルマザーシェアハウスの調査をしている学生が2人います。現場にいって、なぜ、シングルマザーシェアハウスを開設したのか、住宅はどのように獲得したのか、どのようなシングルマザーが入居していて、その生活課題はどのようなものかなど、何度も現地に通って、監察して、インタビュー調査を重ねています。